へし折れる

先ず前提としてウチの4歳児について。
彼は毎日スカパー!で見ているヤッターマンが好きで、彼の将来なりたいものランキングでは常に上位にランクされている。子供番組に良くある「正義vs悪」という図式の中で“悪”に分類されるものは大抵嫌いなのであるが、その中でも彼のヒーローであるヤッターマンの敵であるドロンボー一味は、彼が最も忌み嫌うものである。なので、我が家において彼が怒られる場合、子供によくある「もうしません、ごめんなさい」の直後に同じ悪さを敢然と繰り返す状況において、このような台詞は最も彼をへこませる。曰く
「約束守らないなんて皆が一番嫌なことでしょ。嫌な事ばっかりするのは泥棒といっしょじゃないか。警察に捕まっちゃうよ。」
要するに彼にとっては“ドロンボー一味=泥棒、すなわち極悪”という図式が完全にインプットされており、警察に捕まるというのは本当にいけないことなのである。捕まえるのがヤッターマンじゃなく警察であるというのは、どうやら彼はヤッターマンが実在じゃない事は理解しているらしい。にもかかわらず将来はヤッターマンになるというその矛盾については、4歳児ということをもって見逃してもらいたい。ちなみに、夜など彼がなかなか寝ない時にパトカーのサイレンの音などが聞こえた場合「ほら、お前が寝ないから警察が捕まえにきた」とか言えば泣きながらすぐ寝るし、保育園で苛められた事を訴えかけてきた場合は「そんな悪い子はきっと警察に捕まっちゃうよ」と言えば会心の笑顔を見せる。
次に我が家の現状について知っておいて頂かねばならない。私の勤めている会社が不安定で、私と家内の会話は最近、今後のシミュレーションが殆どの割合を占めている。子供にはなるべく聞こえないようにやっているつもりではあるが、家内は子供と一緒に寝てしまう場合が多く、必然的に私が晩飯を食している際に晩酌をしながらという事になる。子供はカートゥーンネットワークか彼の好きな鉄道関係のビデオで気をそらしている。
そして今日も家内とは会社の話などしていた。今日のビデオは彼の興味を根こそぎ鷲掴みするようなものではなく、なんとなくこちらの気配を伺っているようではあったが、特に気にすることなく話を進めていた。そこで彼の放った一言、曰く
「お父さんの会社の人、全員警察に捕まっちゃえばいいのにねぇ。」


さて、この一言から導き出される我が家の問題点として、以下の2点が挙げられる。すなわち
1)父の威厳はどこへ
 父というものは強くなくてはいけない。子供にとって最も頼りになるはずの父親が、警察に助けられてどうする。父はどんな悪にも負けないはずである。
2)俺(すなわち父)はそんなに追い詰められているのか?
 家庭では明るい父を装っているつもりではあるが、子供には見抜かれているのか? それとも全くもって誤魔化しきれていないのか。


私の悩みは尽きる事が無い。
今宵も酒が止まらない。